「心理的瑕疵物件」のお取引
皆さんお元気ですか??
今日の八王子は久しぶりの雨です。ずっと空気がカラカラでしたので、ちょうどいいお湿りといったところでしょうか??
さて先日、ご成約物件のお引き渡しがありました。
その物件は販売図面に「心理的瑕疵物件」との記載があった物件です。
心理的瑕疵物件とは、
● 過去に自殺があった。
● 殺人現場になった。
● 墓地や宗教団体の施設や暴力団事務所に隣接している。
など、心理的に(精神的に)強い抵抗を感じる条件がある物件の事を言います。
この物件を最初に弊社のHPに掲載する際、当然売主さんに確認をしていました。
浅川
「販売図面に心理的瑕疵物件ってありますけど、どんなことがあったんですか??」
売主さん
「以前の所有者さんが自然死をなさったと聞いています。」
今回の物件は、販売までにいくつかの業者さんを挟んでいるので、売主さんも細かい事情はご存じありませんでした。
ここで、宅建業者としての浅川不動産(株)が確認しなければならないのは、「事件性のない自然死」だった場合の告知義務です。
そもそも人間は生き物ですので、いつかは死んでしまいます。自宅で自然死をする事は、本来ごく当たり前のことです。今はほとんどの方が病院で亡くなりますけど。
そして同じ自然死でも、すぐに発見された場合と、発見が遅れた孤独死だった場合は???
色々調べてみましたが、しっかりとした線引きが無いようです。
買主さんが、
「その事実を知っていたら、その物件を買わなかった。」
という事は、先に告知しておきなさい。という解釈でよさそうです。
もちろん常識の範疇で。
「隣に浅川が住んでいるのを知っていたら、その物件買わなかった。」
というのは、裁判でも勝てないと思います。
先日お引き渡しした物件に関しては、最初のご案内前にそのマンションの管理人さんに確認をしました。
浅川
「すみません。このお部屋が今売りに出ていますけど、自然死があったと聞いています。その件でご存知のことあったら教えていただけますか??」
管理人さん
「はい。間違いないです。私が第一発見者ですから。」
(いきなりビンゴ!!)
浅川
「どんな状況でしたか??」
管理人さんは、言葉を選びながら丁寧に説明してくれました。
管理人さんの話を要約すると、
・そのお部屋はもともとお年を召したご夫妻がお住まいだった。
・奥さんは認知症になって、施設に入院した。
・ご主人は本当に几帳面な方で、毎日決まった時間にお見舞いに行っていた。
・ある日、ご主人の出発が遅れていつものバスより遅い便で病院に行かれた。
・帰ってきたら、ご主人は本当に憔悴して帰っていらした。
管理人さんがご主人に声掛けすると、
ご主人
「いつもより1時間くらい遅れていったら、奥さんが施設の職員さんに羽交い絞めされていた。いつもの時間に自分(ご主人)が来ないから、自分(ご主人)の世話をしなければと、施設を抜け出そうと暴れていた。」
ご主人は本当に肩を落としてお部屋に戻られたそうです。
・翌日、ご主人がいつまで経っても降りてこない。
・気になった管理人さんは、合鍵でご主人のお部屋を開けると、ご主人はベッドに倒れこむようにして亡くなっていた。
と、こんな経緯だったそうです。
お年を召したご夫妻が、お互いを思いあっての出来事だったんですね。
1人残された施設の奥様が今どうなっているか、管理人さんももうわからないとのことでした。
当然この詳細な話は、ご案内当日にお客様にお話ししました。
おそらく、法的には告知しなくてもいい問題(裁判になっても恐らく勝てるだろうという話)なさそうですが、少しでもお客様には隠し事をしたくないので。
お部屋そのものはきれいにフルリフォームかけてあったこともあり、お客様はそのままお取引を進めてくださって先日のお引き渡しとなりました。
お引き渡し後、浅川不動産(株)からの特別サービスです。
神主さんに来ていただきました。
自然死で亡くなった仏さんは、家の守り神になるという話もあるそうですので、どちらかというとご入居前のお浄めという解釈でもよさそうですね。
各居室・キッチン・お風呂・トイレ・洗面所・バルコニー・リビング等々、すべての場所でしっかりお祓い(お浄め)していただいたので、買主さんも気持ちよくお住まいになれることでしょう。
ちょっと珍しい案件でしたので、ブログにさせていただきました。
末永くお幸せにお住まい下さいませ。
最後までお目通しいただきありがとうございました。
今後とも浅川と浅川不動産をよろしくお願いいたします。