素人営業とお住み替えと親子2代のお客様と
皆さんお元気ですか??
先日、4年前にお求めいただいたお客様からLINEをいただきました。さらに言うと、このお客様(奥様)のお父様も、17年ほど前に浅川から家を買ってくださってます。親子2代のお客様です。本当にありがたい。(ちなみに、奥様は17年前は本当に可愛らしい女子高生でした。)
・ご主人の実家の隣に古屋付きの土地が売りに出ている。
・そこに住み替えをしたい。
・土地を売っている業者に今の家の査定をしてもらったら、「3,500万円で売れるだろう。仲介手数料を引いて約3,380万円の手残り。」と言っている。
・浅川さんなら、もう少し高く売れないですか??
要約するとこのようなお話になります。
はっきり申し上げて、
これだけだとどうにもわからない・・・。
浅川が分かるのは、4年前の取引価格くらい。
(だって浅川が重要事項説明してますからね(笑))
一般のお客様なら、事前にある程度の話をお伺いするんですが、このお客様は特別です。仕事にならなくても、久しぶりにお会いできるだけで楽しみでしたので、先日お邪魔してまいりました。
ご主人
「お久しぶりです。ご足労いただいて申し訳ございません。」
奥様
「こんにちは。よろしくお願いいたします。」
浅川
「お久しぶりです!!皆さんお元気ですか??」
小さかった男の子2人も、しっかり挨拶をしてくれる「お兄ちゃん」になってました。お子さんの成長を見ることができると、とてもうれしい。浅川の白髪も増えるはずです・・・。
早速リビングに通してもらいました。
奥様
「まず、家をご覧になりますか??」
通常の査定ならその順番でいいんですが、今回はわからないことが多すぎる・・・。まず状況確認をしなければ。
浅川
「先にお話をお伺いさせてください。申し訳ないんですが、膝崩してもいいですか??」
(浅川、正座と巨人軍が苦手です。)
浅川
「ご実家の隣に物件が出たんですよね。そちらに住み替えたいと。」
奥様
「そうです。」
浅川
「お求めになる物件の資金計画書と、今のお住まいの残債が分かるものを見せてください。」
・土地の販売価格
・古屋の解体費
・建物の建築費
・諸経費
それらを合計した表はしっかりしたものです。総額で3,600万円くらいでしたでしょうか。
今のお住まいの残債は、3,400万円くらい。
今の残債と新しい物件の総額を足したら7,000万円。
浅川
「相談なさってる不動産屋さんはどんな住宅ローンをご案内してますか??いっぺんに2本のローンって組めない場合が多いんですけど。」
ご主人
「○○銀行ならいけるって。新しい家を買って、1年以内に今の家を売れたらいいみたいで。」
浅川
「なるほど。1年後の残債って、3,300万円くらいですね。仲介手数料を考えたら、3,400万円以上で売れないとまずい。その値段以上で売れるっていう保証はあるんですか??売れなかったらどうなるって説明はありました??」
奥様
「・・・・。
売却の表は出してくれたんですけど・・。」
浅川
「なるほど。でも、4年前に3,500万円だった家ですよ??」
最近、多摩地区の物件価格は上昇基調です。それは間違いない。
でもね。
4年前に3,500万円だった物件を、3,400万円で
絶対売らなきゃいけない。
ホントにそれができんの??
この営業、解ってんのか???
新しい家をお求めになって、1年以内に今の家のローンを消す。(つまり売り切る)これが銀行がお金を貸す条件です。もし、1年でローンが消せなかったら。
契約違反です。
新しい家のローンを
一括返済しないといけません。
シャレになりませんよね。
お客様はこの事実を知らない。
知らされていない。
この手の取引の場合、希望額で期限内に売れなかった場合には、業者に買い取ってもらう保証をつけてから動かないといけません。それが浅川の考えるセオリーです。
ただ、その業者買い取り価格は、エンド価格の7割から8割になります。
(この場合は2,310万円~2,640万円)
浅川
「1年で売らなきゃいけないって、お尻が決まってる取引なんですけど、売れなかった場合は大赤字になります。このマイナス分を自己資金で賄えますか??仮に2,600万円での買い取りになってしまった場合、ざっくり700万円足りません。それは自己資金で出してもらうことになりますけど??」
奥様
「それは無理です。」
浅川
「そうですよね。さすがに、4年前に家買った後で現金700万円は出せませんよね(笑)。
でも、この手の取引の場合、そこまで考えて動かないといけないんですよ。言いにくいんですけど、「最悪の状況」を想定してないと。」
そこから、ご主人にその担当営業に電話してもらいました。
途中からスピーカーホンにして、奥様と3人で聞きましたが、ずっと空回りしている感じ。
ただただ、自分が担当している土地を買ってもらえるかどうか、そればかり。
浅川は、今の家が売れなかったときはどうなるか。お住み替え後の毎月の支払い、そこばかりが気になります。
しばらくスピーカーホンでのやり取りをなさってましたが、浅川は途中から聞いてません。
何度も言いますが、今回の取引の肝は、今の家がいくらで売れるかどうかです。売れなかった場合の事を全く想定しないで、自分の物件を売る話ばかりしている。
全く持って、聞くに値しない。
しばらくして、電話は終わりました。
浅川
「結局、さっきの営業はこの家を売ることについて、ほとんど考えてなかったでしょ。そこが一番大切なのに。」
奥様
「そうなんですよね。今の営業さん、自分の物件を売ることばっかりで、今の家の売却の話は説明してくれてないです・・。」
浅川
「不動産営業って、そんなの結構多いですよ。
この人、宅建も持ってないみたいですね。
名刺に書いてないし。
シロートですね。
主任って肩書はあるけど。」
浅川、旧知のお客様ですので、口が滑ります(反省)。
順番が逆になってしまいましたが、それから今のご主人のお勤め先の事、ご年収の事をお伺いしました。なんと、今年の4月に転職をなさってます!!ズバリ、ローンは通りにくい。更に言うと、住宅ローン以外のローンも一本ある。ご年収からしても、新しい家のローンを組めるかどうか。
もし借りることができたとしても、お二人でお考えの支払い希望額よりもずっと高いお支払いになります。
浅川
「あの、いろんな意味で、今回は動かないほうがいいと思います。
1)そもそも、必要額借りれるかどうかわからない。
2)もし借りることができたとしても、毎月の支払い額が想定よりずっと高くなる。
3)今の家がいくらで売れるかわからない。そして売れなかった場合の担保が何もない。」
奥様
「そうですね。」
浅川
「あの、自分が仲介したから言うわけではないですけど、この家ってすごくいい家ですよ。大切に住んでくださいよ。ね??」
ご主人
「そうですね。この家は気に入ってますし。」
まさか、不動産営業として、そんな事しゃべって帰ってくるとは思いもしませんでした(笑)。前職在籍時なら上席から30分詰められたと思います。(いや、ホントに。)そんな営業が嫌だったから、独立したんですけどね。
浅川の自慢話を少しだけ。
最初に努めた不動産屋さんで、大型分譲地の販売員をしたことがあります。お住み替え希望のお客様も多数です。ド新人の頃から、住み替え(買い替え)のお客様をたくさん担当させていただきました。この経験は、浅川の何物にも代えがたい宝物です。
今日のまとめ。今の家のローンが残った状態でのお買い替えって、ある程度以上のキャリアを持った営業に任せないと、本当にひどい目にあいますよ。くれぐれもお気をつけて。
最後までお目通しいただき、誠にありがとうございました。
今後とも浅川と浅川不動産(株)、
弊社スタッフをよろしくお願いいたします。